長寿が暮らしにもたらす変化

長生きは高齢者にとっても家族にとっても喜ばしいことです。かつては、おばあちゃんが知恵袋になったり、おじいちゃんが若い経験の少ない世代にこれまでの経験や知識を分かち合う役割を果たしてきました。

しかし、現在では長寿が社会に様々な影響を与えるものになり、暮らしにも変化をもたらしています。

・仕事を退職した後や子供の養育を終えた後の居住空間が長くなる。

・子や孫との多世代同居の世帯が触れる増えると予測されているものの、高齢者の単身世帯や高齢の夫婦のみの世帯が増加

・女性の社会進出や労働参加が進み、親子関係に対する意識や老親の扶養に対する考え方に変化が生じている。

 

高齢者の加齢による身体機能の変化

車椅子が必要だったり、寝たきりになるとはいかないまでも、加齢による身体機能の変化は避けられません。加齢による身体面の変化の主なものは、運動能力の衰え、視力・聴力・嗅覚の衰えなどです。又、生活面では住宅内で過ごす時間が増え、新しい事への対応能力が低下する事などが特徴です。

 

高齢者に優しい住まいとは

「安全であること」

「家の移動が容易に行えること」

「快適であること」

「人との触れ合いが出来ること」

などが求められますが、これは、高齢者の住まいに限られたことでなく、住まいに求められる普遍的な要素でもあります。

住宅内に段差が多い

 特徴             問題点

玄関の上がりがまち、廊下と和室、

脱衣室と浴室など、住宅のいたる

ところに段差がある

生活動作を不便、不自由にし、

転倒・転落の原因となる

尺貫法の単位(モジュール)で家が造られている

特徴 問題点

910mmを基本単位として建物が造

られている場合が多いため廊下、階段

の幅、出入り口の幅などが狭い

介護がしにくい。車椅子などの

福祉用具が使いにくく、室内移動

が困難

狭い室内

 特徴             問題点

もともと狭かった室内に、生活の様式

化に伴いベッドなどの家具を持ち込ん

だために、さらに室内が狭くなる

介護がしにくい、車椅子などの

福祉用具が使いにくく、室内

移動が困難

和風の生活様式

 特徴             問題点

畳に座る、トイレでしゃがむ、和式浴槽

をまたいで入るという生活様式。

身体機能の低下した高齢者には

不向き

断熱性の悪い家

 特徴             問題点

冬季における室内外の温度差が大きい

高齢者、障害者、特に循環器系

に疾患を持つ高齢者にとって不

適切である。

核家族が進行し、また、女性の社会進出が進むにつれて、従来のような家庭内での介護が難しくなってきております。

 こうしたなかで、住まいのバリアフリー、高齢者の住まいの環境整備をすることは、ホームヘルパーさんや家族による介護の軽減や介護からの解放、又、以外に多い家庭内の転倒などの事故などの軽減が図れます。

高齢者の住まいの環境を整えることによって、高齢者が住み慣れた家や地域で自立した生活を維持、継続でき、生活への意欲や生きがいが大きくなるとされています。

 ・手摺の取り付

    対象外:床において使用するものや、据え置くものなどの工事を伴わないものは福祉用具

         貸与の対象

 ・段差の解消

    対象外:工事を伴わないスロープは福祉用具貸与の対象

 ・すべりの防止及び移動の円滑化などのための床、または通路面の材料の変更

 ・引き戸などへの扉の取替え

    対象外:自動ドアとした場合、自動ドアの動力部分の設置

 ・洋式便器などへの便器の取替え

    対象外:腰掛便座(和式便器の上に置くもの)は福祉用具貸与の対象。暖房や洗浄など   の機能がついたものでも可ですが、すでに洋式便器があり、そこにこれらの機能をつけるのは不可

 ・その他住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

   手摺の取り付け、床材の変更などの下地補強・扉の取替えに伴う柱の改修・便器取替えに伴う給排水工事など

 

市町村により、支給対象が異なる場合があります。大阪市の介護保険住宅改修はこちら

・手摺りの取付

住まいで手摺りを取り付ける箇所として、

「屋外アプローチ」「玄関」「廊下」「階段」「洗面・脱衣」「浴室」「トイレ」

などがあります。

手摺りを取り付ける場合の注意点としては、堅固に取り付けるということです。手摺りは体をあずけるもので、大きな力がかかります。中途半端に取り付けるとかえって危険であったりします。最近のお家の壁は石膏ボードが多く、ネジ止めが出来ない場合もあり、そういった場合には補強板などが必要です。

又、手摺りは階段やスロープの両側につけることが理想ですが、一般の住宅の階段のように、両側につけると狭くなるなどの場合は、転落防止のため下りのときの利き手側に設置します。

 

・手摺りの形状

手摺りには、廊下や階段など、移動するときに手を滑らせながら使うものと、トイレや浴室など、しっかり握って使用するものがあります。

廊下や階段に取り付ける手摺りの直径は32〜36㎜、トイレや浴室に取り付ける手摺りは直径28〜32㎜、程度のものが使いやすいとされています。

間接リウマチなどで手首がうまく使えない場合には、握らずに手摺りに手や肘をのせて移動するといった使用方法もあります。

手摺りの端部に身体をぶつけたり、衣服の袖口をひっかけるといった危険性もありますので、手摺りの端部は壁側に曲げ込むか下方に曲げて納めておきます。

 

・横手摺り

横手摺りの受け金具は、手摺りの下から受けるようなタイプのものにします。手摺り横から受けるようなタイプの金具では、握った手をすべらせて使用する場合に、手摺りの受け金具に当たって握りかえる必要があるからです。

横手摺りの取り付け高さは床から、足の付け根に合わせることを基本とします。通常は75〜80㎝程度になります。

 

・縦手摺り

縦手摺りの下端は、横手摺り同様、床から75〜80㎝とし、上端は対象者の肩の高さより10㎝程度上方に取付ます。

日本の住宅には、「門扉の周辺」「アプローチ(道路から玄関までの)」「玄関ポーチ」「玄関の戸」「玄関の上がり框」「和室と洋室の境」「建具の敷居や下枠」「浴室の出入り口」などさまざまな段差が存在します。

 

段差には雨水の進入を防いだり、お風呂の水が脱衣場に流れてこないためであったり、隙間風やほこりの侵入を防いだりと、建築上の様々な理由がありますが、高齢者の住まいにとっては、段差は好ましくないものとされ、解消すべきものとされます。

屋内外の段差は、緩やかな階段やスロープで解消します。

 

屋外アプローチの階段

 屋外アプローチに設ける階段は、緩やかな勾配にします。

 階段の寸法は踏み面(階段の奥行き)は30〜33㎝

          蹴上げ(段差)は11〜16㎝

          がよいとされています

屋外スロープ

 屋外スロープの勾配もできる限り緩やかであることが望ましく

 標準的には、勾配は1/12~1/15程度を基本とします。(50㎝の段差には水平距離で6mほど必要)

 スロープには据え置きしの簡易型などもあります。

昇り下りのしやすさを考慮して、玄関の上がり框の段差は180㎜程度以下とします。

高齢者の身体機能を考慮し、一回の昇降で安全に、そして容易に超えられる段差を測り、それに会わせて整備していくことが、理想的です。

 

上がり框の部分で段差が大きい場合には、式台(玄関の土間と框の間に設けるもの)を設けて小さな段差に分割して昇降しやすくします。

式台の寸法は、幅50㎝以上、奥行き40㎝以上とします

その他、座った姿勢で着脱できるように、ベンチを設置することもあります。

和室は洋室より一般的に、畳の厚さの影響で4〜6㎝ほど高くなっています。この段差を解消するための、もっとも簡単な方法として、敷居段差は残したままで、「すりつけ板」(段差解消用の簡易なスロープ板)を設置するといった方法があります。

 

その他の段差解消としては、低いほうの部屋の床を嵩上げするといった方法もありますが、そういった場合建具などの長さを調整する必要があります。

浴室の段差としては

浴室と脱衣室の段差と洗い場と浴槽(浴槽縁のまたぎ越し)の段差があります。

 

浴室と脱衣室の段差、洗い場と浴槽の段差解消する簡単な方法として、浴室の洗い場にすのこを敷くという方法があります。

すのこは清掃や乾燥をするために、子割にして、取り外しを容易にしておきます。手掛け部分を設けるなど、取り扱いが楽になるような工夫も大事です。がたつかないように、脚部にゴムを張り付けるなどの工夫も必要です。

すのこを敷いた状態で浴槽縁高さが、またぎ越しのしやすい40〜45㎝になるように、高さ調整をします。

浴室や洗い場が狭い場合、浴室の出入り口にシャワーカーテンなどを設けると、湯水の流出を防ぐことができますが、完全ではないので、脱衣場の床は、シート系床など、水濡れに強い床仕上げにしておきます。

 

その他として、浴室面にコンクリートを流し込んで、洗い場の床を嵩上げする方法もあります。この場合、浴室からの湯水が洗面・脱衣室に流れ出ないように、浴室出入り口部分に排水溝を設け、グレーチングとよばれる、溝蓋を設けるなどの配慮が必要です。

特に滑りやすいところ

 

雨の当たる外部床面やお風呂の床など水に濡れている場所

 乾いているときだけでなく濡れている時も滑りにくいか注意が必要です。

 

階段の段鼻部分(階段踏み面の先)

アプローチやポーチ、玄関などの床は、滑りにくい仕上げのものにするのは当然として、特に、外部内部とも階段の段鼻(階段踏み面の先)は滑りやすいので、滑り止めの加工したものをつかいます。

その他、階段の上がり口や下り口に足元灯を設けて、段差部分をわかりやすくしたり、注意を喚起するため、段鼻部分の色を変えたりするのも効果的です。

滑りの防止でもっとも簡単な方法として、ノンスリップテープやノンスリップマットを貼りつける方法があげられます。その他滑り止め加工を施した塗料など、様々な建材が出てきています。

高齢者など住まいの移動の円滑化として、まず挙げられるのは、和室などの旧来の生活様式から、洋室での生活様式といったことが考えられます。

畳に布団を敷いて寝る、座卓などでの食事をするといった、生活様式は、立ち座り動作に伴う身体負担が大きく、ベッドでの就寝や、テーブルでの食事といった生活様式のほうが身体負担が小さくなります。

畳を取り払って、寝室や食事室に変更する場合、一般的にフローリングなどの床材に変更することが多いですが、床面が濡れたり、頻繁に水拭きする可能性が考えられる場合には、水に強いビニール系の床材を選択します。

高齢者は住まいの中、部屋の中にに閉じこもりがちになります。部屋と部屋、家の中と屋外をつなげる役割をする扉や戸などの建具にはつながりをよくする工夫がのぞまれます。

開き戸は開閉の際に、身体の移動が大きく動作が困難なため、高齢者にとっては扉は引き戸のほうが便利です。

住宅の構造上、引き戸に変更できない場合には、折れ戸やアコーディオンカーテンにする方法も考えられますが、折れ戸は開いた状態では、扉が2枚重ねになるため、有効の開口部が狭くなったり、開閉の際に若干コツをようするなどの使いにくさもあります。又、トイレ、洗面・脱衣室の仕切りをアコーディオンカーテンにする場合などには、家族のプライバシーなどの問題を含め考える必要があります。

なお、引き戸は敷居やレールにつまずきやすいなどの難点がありますが、敷居を埋め込んだり、レールが不要な上吊り式にすると出入がスムーズになります。

最近の開き戸にはレバー式の取っ手(レバーハンドル)がとりつけられていることが多くなりましたが、丸ノブ(握り玉)のついているものもたくさん見かけます。

丸ノブの場合、ドアの開閉の際に、握って・回して・押し引きするといった3つの動作を同時行うことになります。一見なんでもないこの動作も高齢者にとっては、困難になる場合もあるため、これをレバー式に交換すると、手を掛けて下げ・押し引きして開閉するという2つの動作に減らすことができます。

特に握るという動作がなくなることは大きな利点となります。さらに、押し引きだけの動作で開閉できるプッシュプルハンドルなどのものもあります。

 

小さな掘り込み取っ手がついている引き戸を多く見かけますが、指先の力が弱くなっている高齢者には、戸の開閉が困難な場合があり、手をかけやすい大きなものなどを取り付けることも検討します。

高齢者の場合はトイレの使用頻度が高くなるため、トイレの周辺は安全で快適な空間であることが求められます。暗がりでつまずいたり、寒さのために身体が冷えてしまうことがないよう、身体状況を配慮して計画する必要があります。

これらの配慮が不足していると、しだいに排泄行為を寝室やベッド付近で行うようになり、結果的に寝たきりになる時期を早めることにつながります。

和式便器は立ち座り動作の身体的な負担が大きく、排泄時の姿勢保持も難しく非常に不便です。腰掛けてしようできる洋式便器は身体的負担」も少なく使用しやすいといえます。また、暖房便座や洗浄機能つき便座などへの対応も可能です。

和式便器から洋式便器に変更する場合、問題になるのは、トイレの奥行きです。

 和式便器の場合、奥行きが90㎝ほどしかない場合もありますが、洋式便器に変更する場合、腰掛けた時に膝がトイレの戸に当たらないよう、奥行きは最低で120㎝ほど、必要になってきます。

奥行きが足らない場合は、膝があたらないように、トイレの出入り口部分だけでも突き出す必要があります。

高齢者は夜間におけるトイレの使用頻度が高いため、トイレと寝室はできるだけ近くに配置します。トイレへの移動の容易性を考慮すると、本人専用のトイレを寝室に隣接して設けることがりそうです。

排泄動作を自立して行う場合には、通常のトイレの広さでよいとされています。

介助が必要な場合は、便器の前及びサイドに50㎝以上の介助のスペースを確保することが必要になります。この場合には便器のどちら側から介助を行うのかを介助のする人、される人打ち合わせをして便器の位置を決めることが必要です。

介助スペースの節約や共有化を図るため、トイレと洗面・脱衣室をまとめてワンルーム化するという方法もあります。建物の構造上問題なければ、建具や仕切りを取り払うことで、広く使うメリットも生まれますが、入浴あるいは脱衣中にトイレの使用がしづらいといった問題も起こるので、本人や同居家族の意向を確認する必要があります。

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