床の間をしつらえた和室・・・住まいの中で日本の情緒を感じさせてくれる空間ですね。掛け軸が掛けてあり、香炉や花入れが置かれ、違い棚にはしかるべきものが・・・まさしく「日本の粋」の世界です。
床の間にはもともと2つの意味があったそうです。室町時代、中国の美術品を室内に飾ることが流行り、「芸術空間としての床の間」。もうひとつは、武家屋敷に造られた上段の間をはじまりとする「上座、下座などの格式空間としての床の間」。
戦後、特に都会の住宅事情ではスペースの無駄、古臭い、実用的でない、造作に手間がかかるといった理由から敬遠されたり、あっても単なる物置になったりと、合理的な考えのもと隅に追いやられる存在となりました。
話は変わりますが、超高層マンションの高層階などは、ストレス回避のため廊下をまっすぐせず、凹凸をつけて、無駄な空間をわざわざ設けることもあるそうです。
一見合理的でない空間も、心の安らぎをもたらす上で必要なのかもしれません。
吉田 兼好曰く
「造作は、用なきところを 作りたる 見るも面白く 万の用にも立ちてよしぞ 人の定め合い侍り詩し」 だそうです。