家の中で、一番開け閉めする扉は?玄関のドアや居間への出入り口かもしれません。育ち盛りのお子さんがいるところは間違いなく冷蔵庫の扉でしょう。トイレの扉もそのうちのひとつ。出入りの多い空間であるトイレのお話。
その昔、我が国では川に板を渡して、用を足していたそうです。天然の水洗トイレ。さぞかし、すがすがしさがあったにちがいありません。逆に、開放感がありすぎて用が足せないといった方も。
トイレはちょっと前まで、厠(かわや)と呼ばれ、その語源は「川屋」だと言うのもうなずけます。
その次に取って変わったのが、「くみ取り式便所」農家にとっては肥料の供給源としてありがたいものでもありましたが、問題は臭い。又、排泄の場は不浄のものとされ、家屋から離されたり、北側の隅に追いやられる存在になりました。そういった意味で、厠(かわや)の語源が「側屋」という説も。今でも、トイレでスリッパに履き替えるのも、この名残だとか。家相では、不浄の場とされ、鬼門や裏鬼門にトイレをもってくるのはタブーとされました。
戦後、上下水道の整備に伴い、都市部では「水洗便所」が普及します。その後、かがんで用を足す和式便器から、座ってする洋式便器が排泄が楽に行えるということから、急速に普及しました。下足で家を歩き回るなどの住まいの洋風化は、なかなか馴染まなかったもののトイレの様式化は一気に進みました。
小さな子供や若い方は和式便器だと用を足せない方も多いとか。私の子供も公園の和便器をはじめて使ったときに、逆向きに座ったのはビックリしました。
トイレの良し悪しを見ればその国の文化水準がわかるとよく言われます。一昔前のように隅に追いやるのではなく、トイレは明るく清潔で快適なものにしたいものです。