日本の在来工法の家には、日本の風土と暮らしが育てた工夫があります。「縁側」もそのうちのひとつです。
縁側の縁とは、もともと中国の服の袖口の飾りをいい、擦り切れやすい袖口を補強する役目をもっていたそうです。縁側の役目もこれと同じで、木、紙、土などといった柔らかい素材でできている日本の住宅を風雨や直射日光などから守ってきました。
縁側のある家は二重閉まりになるため冬暖かいのはもちろんのこと、夏の日差しを縁側の屋根や庇が防いでくれるので、夏も涼しくすごせます。
和室は格式ばった空間であるのに対し、縁側は上座も下座もない自由な空間であり、一息をつく場所としても活躍しました。
縁側での日向ぼっこ、夏の夕暮れの夕涼み、近所の人とのおしゃべり、庭木自慢のおじいちゃんの観覧席、縁側は人と自然、個人と社会をつなぐ空間となり、日本人独特のくつろぎのスタイルを育んできました。
最近は住宅事情もあり、無駄な空間として切り捨てられるのは仕方のないことですが、「縁側」で繰り広げられた「くつろぎ」だけは忘れたくないものですね。
「サザエさん」や「ちびまるこちゃん」の家には縁側がありますね。